*お別れ
ずっとお世話になっていた建築家の方が亡くなられた。
10年ちょっと前に知りあって。その頃からずっと「おじいちゃん」というイメージだったけれど、逆算すると最初にお会いした頃は60前だったはずで、今の自分の父よりずっとお若い。失礼だった…と思ったけれど、今日のお通夜で飾られていた建築作品の写真や著書のコーナーにあった若い頃の写真を拝見して、「おじいちゃん」イメージを私に植え付けていた、ぴかぴかの広いおでことふさふさの顎ひげは、恐らく20〜30代の頃から変わらない風貌であったと知って、おかしくって、でも本当にこのお姿がトレードマークであったのだよな、と泣けた。
私の職場である大学に、ちょっと前まで頻繁にいらしていて、廊下から目が合うと「よっ、元気か」と聞かれるのが当たり前になってた。学生たちと一緒に別荘にご招待、のつもりで出掛けたら、庭の草むしりで大変な思いをしたりもした。
何よりも、私がこの道に進むきっかけとなった「同潤会江戸川アパートメント」を、深く深く愛していた方だった。もっとお話しをしたかった。叱られたかった。恩返しをしたかった。
心よりご冥福をお祈りします。